桃の節句
子供の頃、母がお雛祭りの日に作ってくれたちらし寿司は
桃の花に型取りされた五目寿司の上に
お雛様が仲良く並んでいました。
うずらの卵のお顔、目はゴマ、口は紅しょうが
お内裏様のお着物は薄焼き卵
お雛様のは赤身のお刺身
帯は三つ葉で結ばれていました。
出来上がりが待ち遠しかった私は
お手伝いをしながら母が作っているそばを
嬉しくて離れることができませんでした。
母になった私はと言うと、そこまで手の込んだものは作れませんが
3月3日には必ず五目ちらしを作ります。
具材を甘辛く煮ながら、ふと思ったのですが
私は母からとくにお料理を習ったわけではないけれど
割とお手伝いはしていたので見よう見まねでハタチの頃までには
ちらし寿司ぐらいは作れるようになっていました。
なのにムスメは未だに卵焼きしか作れないって
あまりにもひど過ぎです。
あの子に娘が生まれたら毎年お雛様を飾ってあげるのだろうか?
ちらし寿司は作ってあげるのだろうか?
まさかインスタントで済ませやしないだろうか?
桃の花と梅の花の区別はついているのだろうか?
などと不安になってしまいました。
そんなムスメの初節句のお祝いに母が贈ってくれたお雛様。
初めて見た時には、正直「地味なのでは」と思いましたが
いろんな方に「このお雛様、素敵ね」と褒めていただいて
どんどん愛着が増してきて今ではこのお雛様を選んでくれた母に
とても感謝しています。
璃寛茶 りかんちゃ
亜麻色 あまいろ
緋色 ひいろ
鴇色 ときいろ
日本古来の伝統色のお着物をまとい
優しく微笑んでいるお雛様。
今年もあと少しでお別れです。
しまいそびれると「お嫁に行くのが遅くなっちゃう!」と
ムスメに言われます。
が
こんなに何も出来ないまま嫁いだら、お相手に迷惑でしょうが!
せめてお料理ぐらいはできるようになってから
お嫁に行ってくださいましっ!
と、お雛様が申しておりますよ。
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